フィラリア予防薬の投薬期間

1.春から秋に予防薬を投与する場合
 近年の東京のフィラリア感染期間は、10年間(19972006年のデータ)の平均で514日~114日ごろと言われております(最も早い感染時期は55日、最も遅い感染時期は1110日)。(参考:第10回日本犬糸状虫研究会 2007年発表資料)
 これらのデータは、1日平均気温が14
以上になる時を感染期間とし、気象台の気温データに基づいて算出されております。ただし、蚊の発生は、生活圏の気温や蚊の分布の差などによって地域差があるため注意が必要です。日野市内でもグッピーが冬越しできるような暖かい水が1年中あったり、地球温暖化の影響もあるので、上記感染期間(5/1411/4)はあくまでも最低限の危険期間ととらえて、各家庭に合った予防期間を考える必要がありそうです。
 また、予防薬がフィラリア駆虫に有効なのは、犬が蚊に刺され、子虫を置いていってから約2週間後(子虫が成長した時点)の投薬ですので、投薬期間の最終は11月中旬以降になることが望ましいです。

2.
通年予防の場合
 近年の温暖化や住環境の良質化により、フィラリア予防期間の確定が難しくなっています。そのような場合、1年を通して毎月1回フィラリア予防薬の投薬を続けるという方法もあります。当院で処方しているフィラリア予防薬は、フィラリアのほかにも消化管に寄生する回虫、鉤虫(一部鞭虫も)等も併せて駆虫する効果があります。
 予防薬は2日程で体から完全に排泄されるので、通年投与となっても犬の健康に問題を与えることはありません。
 かつて犬の飼育の主流が屋外だったころに比べ、室内飼育が増え、住空間、食卓周り、ソファー(時にはベッドも)等も共有するケースが増えてきていますので、定期的な消化管内寄生虫の駆除は、人獣共通に感染する寄生虫を寄せ付けないというメリットもあります。
 また、通年予防の場合は、春先の血液検査をせずに投薬を継続することができますので、検査のためにお待たせすることもなくなります。もちろんご希望であれば1年を通してフィラリア感染の血液検査やフィラリア症を含めた一般的な血液検査は実施可能ですので、お気軽にご相談ください。

 愛犬とその家族にとって、フィラリア症の予防はとても大切なことです。ご家族のライフスタイルに合った投薬方法をご検討ください。ご不明な点は何でもお問い合わせください。